▲拍手お礼文・ログ▲
○たった一つの特等席○(バサラ佐助×無双幸村) 「旦那!」 「佐助!」 スタ、と何処からともなく背後に表れた佐助に振り向かずに幸村は名を呼んだ。 今はまさしく合戦中。 幸村は何十人もの歩兵に囲まれていた。 「助太刀しようじゃないの?」 「すまない、佐助」 「なーに言ってんの?これが俺様の仕事でしょ?」 「“戦忍び”か?そんな言葉聴いたこと無いな」 「じゃー俺様専用言葉ってコトで」 軽いテンポの言葉の応酬の間にも幸村は槍を振るい、何人もの敵をなぎ払う。そして佐助は大型手裏剣を自分の手足のように扱い、敵の急所を的確に狙い付いていた。 二人は背を会わせる様に立ち振る舞い、その息はぴったりと合っていた。 それは幼い頃から幸村に仕えていた佐助にしか出来ない技であり、敵将までもが恐れおののく幸村が今の実力を付けるまで佐助を相手に鍛錬を積んでいた証拠でもあり、二人が共に長い間一緒にいたという証拠でもあった。 「いやー、イイ調子じゃないの」 シュ、と音と共にドサリ、と何人もの敵が倒れる音がする。 「このまま一人で相手をしていたら骨が折れる所だった」 ブオン、と重い音に倒れる敵兵。 二人の周囲には物言わぬ屍が増えつつあった。 「真田忍隊の長がこういう時にこそ、旦那を助けなくてどうするの」 「すまないな」 そして圧倒的な人数差をものともせず、二人が鬼神の如き動きに、とうとう歩兵が逃げ出し始める。 「お、もうそろそろ終わりそうだ」 「早くカタがついたな。やはり佐助と共に闘うと息の合い方が違う」 「当ったり前でしょー?何年一緒にいると思ってるの」 「そうだな」 幸村が少し振り返る。佐助も少し振り向く。 視線が合って、二人とも無意識に笑う。 この場所は誰にも譲らない、そう佐助は思う。 直江の旦那にも、前田の旦那にも、ましてや石田の旦那にも絶対に譲らない。 この場所は特等席であり、真田幸村の背後で戦うことが出来るのは己だけだ。 それが僅かな優越感になって佐助の口元を緩ませた。 「これって最強ってことじゃない?」 「最強かどうかは分からないが…佐助と共に闘っていると安心するな」 その言葉に佐助は満足そうに笑った。 END |