▲拍手お礼文・ログ▲
○too close○ 兄貴は時々(いつもかもしれないが)、おかしい。 何の飾りもない、ただ無機質にピピピと鳴り続ける携帯電話の着信音。もはや聞き慣れすぎて、パブロフの犬のように反射的にポケットの携帯電話を手に取る。 ーーディスプレイには着信履歴、発信履歴ともに埋め尽くされているであろう名が出ている。 「もしもし」 『ハニー?調子はどうだ?』 「・・・・・・・・・間違い電話みたいですね?」 『待て待て!サム!着信俺だって分かってるだろ?切ーるーなー!』 無意識にため息が零れる。 なんなんだ。なんなんだ、一体。 「じゃあふざけた事を言うなよ」 『冗談だろ?笑って受け流せ』 「反論する気にもならない」 『本気にしたか?』 「………」 無言で通話ボタンを押す。スピーカーの向こうで何か声が聞こえたが、聞こえなかった事にする。 きっと今度の狩りで新しい情報が出てきて電話したのだろうが、自分もモーテルに戻る所だ。後でこちらの収穫と付きあわせて確認すればいい。 「………」 沈黙を続ける携帯電話を見る。 兄は時々(いや、いつもか)、おかしい。 けれど。 そんな"冗談”に赤面してしまう自分はもっとおかしい。 (兄の言葉が冗談じゃないことを弟はしらない) END |